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2023年11月、ロールスロイス社が開発中の次世代ターボファンエンジン「ウルトラファン」が、稼働試験において85,000lb(38.5t)の最大出力をマークしたと発表しました。
ウルトラファンは世界最大の140インチの大きさを誇る技術実証用航空機エンジンであり、今後開発される航空機エンジンへのデータ提供と設計要件の模索をするために開発されています。
世界最大サイズのエンジンのため、ロールスロイスが生産してきた航空機用エンジンとは構造を変える必要があり、前例のない大きさの減速機が採用されています。エンジンは以下の3項目を技術的特徴としています。
●コアアーキテクチャと燃焼システムの組み合わせにより、最大の燃料燃焼効率と低排出を両立する
●カーボン・チタン製のファンブレードと、複合材で構成されたエンジンケースなど新たな材料の採用
●将来のエンジンに向けた高推力・高バイパス比を実現するギヤードメカニズムを採用し、パワーギアボックスは64MWの最大出力を発揮
このエンジンはただ単に推力を向上させるだけでなく、環境負荷に配慮した新たな燃料であるSAFを100%使用することや、電動・水素燃料が使用できるハイブリッドエンジンへの転換も見据えた設計とされています。
現在最も効率がよいとされる Trent XWB エンジンと比較しても10%の効率上昇が見込まれています。
ウルトラファンの試験データにより、ロールスロイスは今後登場するナローボディ機およびワイドボディ機用の25,000lbから110,000lbクラスのエンジン開発に役立てる計画です。
またエンジンの新規開発だけでなく、既存の生産されているエンジンにもデータを適用し、性能改良につなげられるよう計画されています。
ウルトラファンはイギリスの航空宇宙研究所(ATI)、Innovate UK、EU Sky Clean Program、ドイツ連邦経済エネルギー省、ドイツ・ブランデンブルグ州などの多方面からの支援を受けて開発されています。
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