この記事は映画を観た人向けの記事になっています。
まだ「ターミネーターニューフェイト」を観ていない方は閲覧しないでください。
2019年時点でのターミネーター最新作である「 ターミネーターニューフェイト 」がなぜ失敗してしまったのか。その理由を考察してみました。
Sarah Connor vs Rev-9
First Fight Scene-
TERMINATOR 6: DARK FATE (2019) Movie Clip
©2019 Entertainment Access
失敗ポイント1 敵の顔が優しすぎる
まず今作の敵ターミネーターが細身の優男だということ。
ターミネーターを演じているガブリエル・ルナ氏には失礼ですが、愛嬌のある人のよさそうな感じではターミネーター感がありません。
製作側は見るからに怖くて異様な人物がターミネーターというありきたりな設定から抜け出たかったのかもしれません。でも迫力は大事だと思います。
1のような眼光を発しながらトレーラーで突っ込んでくるような、殺気のようなものを漂わせている存在のほうがいいです。
そして内骨格。スカスカじゃないですか!
脳の部分も空っぽでマヌケで弱そうなデザインに見えてしまいます。全員で力を合わせないと倒せない最新型サイボーグなんですから、敵の迫力は大事だと思います。
以下に過去のターミネーターの簡単な特徴を並べます。
1のターミネーター
剥がれた皮膚とその内部からのぞく赤い眼光、そして最後は骸骨のような姿になりめちゃくちゃ怖い。何度撃退されても復活し、装甲車のような頑丈さなどを徹底演出。声帯模写などの意外な武器も持っており、一筋縄ではいかない。
2のターミネーター
液体金属でどんな形にもなれるため得体が知れない。市民を守り、有益な情報を聞き出しやすい警察官の姿をとるなど外見に抜かりなし。擬態、刃物への変形は以降のスタンダードに。
3のターミネーター
女性型で、怖がらすというよりも魅せる感じ。ただし、終盤で骨格になってジョンを追うときの顔はかなり迫力がある。プラズマ砲を撃つことができるので火力はナンバー1。
4のターミネーター
多数のターミネーターが登場し、機械軍が大規模に活動していることを押し出して近未来の世界観を出す。また各ターミネーターごとの見せ場が用意されている。
ジェニシスのターミネーター
3体登場し、内2体は過去の焼き直し。メインのT-3000はMRIの作動で「カイル助けて・・。」と言うなどあまり怖くない。
ニューフェイトのターミネーター
優しそうで怖くない。
失敗ポイント2 敵が地味
ニューフェイトのターミネーターREV-9は内骨格と液体金属の2体に分かれるのが最大の特長です。動きが素早くトリッキーな戦闘もこなします。
それぐらいでしょうか。印象に残るのは。
あとは今までのターミネーターで観たような感じです。
それからせっかく生み出した2人組という設定を活かせていないと思います。
2人に別れられるなら、骨格側が陽動して液体金属側はその場にふさわしい外見の人物に擬態。騒ぎの中駆けつけてくれた知り合いがターミネーターで、いつ殺られてもおかしくなかったという場面なども作れます。
過去作のどのターミネーターと比べても突出した能力が無いこと。これがニューフェイトの緊張感を削いでいると思います。
失敗ポイント3 過去のストーリーを全否定
まずは我らが抵抗軍のリーダー、ジョン・コナーです。いきなり殺されます。親子でバカンス中、手にジュースを持った状態でズドンです。どうして殺すの。
ジョンが死んだ時点で未来の人類は滅亡します。
しかしそうはならず、2の時点でスカイネットは誕生するきっかけを失ったため審判の日は回避されました。
ジョンを撃ったT-800は、1、2にターミネーターを送った後にさらに追加で送られたターミネーターという設定です。
ジョンはいなくなったけど2の時点でスカイネットは生まれない世界になった。しょうがないから人類と平和な日常を過ごしているという訳の分からないことになっています。
カイルの死闘、サラの奮闘、ダイソンの爆死、唯一泣く感情を理解したT-800との別れ。これら全てが無駄になり、ジョンだけがきれいに排除されてしまったのです。
敵勢力もいつものスカイネットではなく、代わりにリージョンと呼ばれるAIが人類に敵対しています。
意味無いじゃん。
人類抵抗軍のリーダーは人物が変わりターミネーターは相変わらず未来から送られ、いつまでたっても機械との戦争は回避できない絶望的な未来が人類を待ち受けるのです。
ジョンがいない。スカイネットもいない。ここまで来ると、それは「ターミネーター」なのかということです。
ニューフェイトはターミネーター2の正当な続編という謳い文句でしたが、この設定で「ターミネーター」だから観たいという層が置いてきぼりになってしまったのです。
いっそのことタイムラインがごちゃごちゃなのを逆手にとって、人類抵抗軍を守り抜いた存在が、実は人類と共存できた世界のAIが送り込んだターミネーターだったというストーリーでも面白いかもしれませんね。
失敗ポイント4 新しい要素が少ない
ニューフェイトでは新キャラが登場しますが、それ以外に新しい要素が出ておらず、シリーズを見ている人には新鮮味が足らないかもしれません。
シュワちゃん
年齢を重ねたT-800という容姿は前作ジェニシスと何ら変わらない。新キャラを引き立たせるためなのか、シリーズで一番地味かも。
サラ・コナー
久しぶりに登場したサラ。2のときみたいに鬼のように撃ちまくる。
REV-9
2体に分かれられるがそれ以外はほぼT-X。
戦闘シーン
2、3、ジェニシスと似た場面が多い。特に直近のジェニシスに似た場面があったのはダメ。
映画のトレイラーを見たときに、ジェニシスの続編なのかと思ってしまった。
失敗ポイント5 シリーズが飽きられた
2作目は難しいというジンクスがあるほど続編は成功しないと言われています。
それを跳ねのけて大成功を収めたターミネーター2。しかし今回は6作目です。なのにストーリーがほぼ変わっていません。
過去と未来を何度ループしても結局機械にやられる未来しか想像できない。そんな映画をもう観たくない人が多いというのが最も大きな理由でしょう。
過去の重要人物を登場させても盛り上がらなかったので、今後のシリーズでは路線変更を余儀なくされそうです。
おまけ アニメ「映画はこう終わるべきだった」
How Terminator Dark Fate
Should Have Ended
©2020 How It Should Have Ended
映画はこうなるべきだったという内容のパロディアニメを製作しているYoutubeチャンネル「 How It Should Have Ended 」シリーズでも、ニューフェイトの衝撃的なストーリーは取り上げられています。
アニメではターミネーター2のラストで溶鉱炉に沈めるのを思いとどまらせ、ニューフェイトのジョン暗殺を阻止します。
結果、未来のサラとダニーは歴史改変で消えてしまいますが、本来の未来に戻り、ボブ(2のT-800)も「戻ったぞ!」と嬉しそうにしています。
ジョンとサラはボブおじさんと幸せに暮らしました。
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