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スウェーデンが次世代戦闘機「テンペスト」の開発計画から脱退したと発表がありました。
テンペスト計画はイギリスを主導に、イタリア、スウェーデンの3か国が共同で第六世代戦闘機を開発するものであり、後に日本が参入しています。
それでは、今回のスウェーデンの計画脱退の原因を探っていきましょう。
戦闘機を問わず、開発計画は長期化することで配備時期が遅れ、機体コストも上昇していきます。また配備したときに時代遅れになることはあってはならないため、積極的に新たな要素が開発に組み込まれています。
テンペストは極超音速兵器、エネルギー兵器、ディープラーニング、無人飛行能力、ドローン管理能力などの新技術を導入するとされています。
しかし、それらはここ数年で生まれた技術であり、戦闘機にどれだけ貢献するかが分かっておらず、未完成の技術を組み込みながら開発が進んでいる状態です。
これは開発期間と予算の見通しが不透明であることを意味します。
次に、現代の戦闘機運用の流れと双発エンジン形式という点にも問題があったようです。
強力な武器を制するために新たな武器が造られるいたちごっこによって、常に対処に迫られるのが軍用機です。
現在アメリカ海軍が運用しているF/A-18Fスーパーホーネットは、新たに開発された装備に対応して航続距離も据え置いた結果最大離陸重量が30t近くあり、F-15Cの最大離陸重量よりも重いです。しかし、元型のYF-17は双発”軽”戦闘機計画で生み出されたものでした。
このように、現代の戦闘機はあらゆる装備が追加され、大きく、重く、高価に改良されていきます。テンペストもこの流れに乗り、開発中に機体規模が拡大していく可能性があります。
逆にスウェーデンが求めているのは小さく、軽く、安価に配備できる単発形式の戦闘機です。
特に軽さは大事であり、現世代のグリペンは諸外国の戦闘機が重くなっていく中で前代のビゲンよりも軽量化されています。スウェーデンが有事の際に、小規模な滑走路や高速道路、隠蔽された格納庫からでも確実に離陸するような運用を徹底しているからです。
そして、意外な点ではF-35の関係もあると考えられます。
現在第五世代戦闘機で世界的に配備されつつある機体はF-35であり、この機体に使われた技術をテンペストの開発にフィードバックすることが予想されます。
この点でイギリスは、F-35開発計画でアメリカをのぞいて最も優先度が高いとされるレベル1の権限を持った唯一の国であり、F-35の技術流用で大きなメリットがあります。
一方スウェーデンはF-35の調達プログラムに最後まで参加しておらず、今後F-35を導入する予定もありません。そのため、開発中スウェーデンの要求が通りにくくなる問題や、テンペストを配備したときにスウェーデンで使いにくい機体に仕上がる可能性をはらんでいます。
このように、スウェーデンはテンペスト計画を継続するにはあまりにも問題が多いと判断し、自国の運用コンセプトを徹底することを選んだようです。
スウェーデンは高度な航空技術によって戦闘機を自国で開発することで知られており、過去にJAS-35ドラケン、JAS-37ビゲンを開発し、現用のJAS-39グリペンはアメリカ海軍のF/A-18F戦闘機と同系列のエンジンを搭載し、スーパークルーズ能力を持ったマルチロール機として活躍しています。
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