アパッチの新型エンジンを搭載した最新バージョンが初飛行

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2023年10月、ソフトウェアとエンジンの改良を施された最新型アパッチ攻撃ヘリコプター「AH-64E バージョン6.5」の初飛行がボーイングにより行われました。

AH-64は初飛行以来50年近くにわたってアメリカ陸軍で運用されていますが、後継機種の計画や他国の新たな攻撃ヘリコプターにその座を譲ることはなく、改良を重ねて第一線に留まり続けています。

改良では将来のアップグレードを迅速に取り入れるためのシステムの導入がなされており、今後もアパッチが活躍し続けることが予想されます。

ソフトウェアアップデート

バージョン6.5ではアパッチの能力向上のため、最新のソフトウェアアップデートが施されています。

アップデートはミッションの適切なルート設定と攻撃計画の最適化、Link16戦術データリンク能力の強化、オープン・システム・インターフェースの統合による新たなテクノロジー導入の簡易化などです。

これにより、アパッチは接続性、航行性、攻撃性、耐久性が上昇しています。

新型エンジン

現在配備中のAH-64EアパッチはT700ターボシャフトエンジンを搭載していますが、最新のバージョン6.5ではT901ターボシャフトエンジンが搭載されます。エンジンはUH-60ブラックホークヘリコプターにも搭載が予定されています。

このエンジンは、アパッチとブラックホークの40年にわたるエンジン運用データをもとに信頼性のある技術で開発されており、T700より出力が最大で50%増加し、燃費が25%減少しています。

強力になった一方で部品数は減少してシンプルな構造になり、ライフサイクルコストの減少も図られています。

アパッチの航続距離は最大で115%増加させることができ、滞空時間も最大で133%増加します。

ブラックホークの場合、航続距離は最大で161%増加させることができ、ペイロードも最大で150%増加します。

T901エンジンには多くの改良が組み込まれ、アパッチの能力向上に貢献しています。以下に改良点を示します。

セラミック複合材

エンジンに新世代のセラミック複合材を使用し、エンジンはより軽量で空気流入量が増加して、多くの動力を生み出します。

また耐熱性が高まったことで冷却システムの効果が高まり、燃費を向上させることにも繋がりました。

積層構造

GEグループが持つ製造技術の恩恵により、最新の積層造形による部品製造が行われました。これにより部品点数が減少し、重量とコストを削減しつつ信頼性を向上させるという厳しい要件をクリアしています。

空力設計ツール

エンジンの設計には、GEグループが携わった、先進航空機用エンジン開発プログラムで検証を行った最新の空力設計ツールが駆使されました。

これにより部品効率の上昇、圧縮比の増加、バランスのとれた負荷応力の設計が行われ、エンジンの実用上昇限度の向上や使用温度の条件の改良が施されています。

冷却システム

新たな冷却技術により、高温になる金属部品の温度が低下してエンジンの耐久性が増加しました。冷却に必要な空気量が少なくなり、排出量も減少しています。

また加速の向上と燃費の向上にも貢献しています。

防塵システム

現在までに蓄積された防塵に対する膨大なデータの蓄積により、さらに強力な砂塵分離器の開発に成功しました。

新たなシステムには、改良された浸食防止技術、耐久性の高いコンプレッサー、高度な取り入れ口の分離機構、適切な冷却穴サイズの設計が施されており、砂の取り込みと圧力損失を軽減してターボメカニズムの摩耗を減少させ、飛行時間を大きく向上させます。

以上のように、ソフトウェアとエンジンが改良された新たなアパッチは、世界で最も過酷な条件下でも信頼できる優れたヘリコプターとして君臨できるでしょう。

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