アルジェリア 世界遺産 ティムガッド ローマ時代の姿を伝える植民都市

ローマ皇帝の中でも実力者として知られるトラヤヌス帝が建設した植民都市”ティムガッド”。北アフリカに生まれたローマの都市の辿った運命とは。「世界遺産を学ぶ」シリーズ・シーズン1の第5回はアルジェリアの世界遺跡であるティムガッドを取り上げます。(全6回)

アルジェリア 世界遺産 ティムガッド

TIMGAD: The Roman City. Batna, Algeria 🇩🇿
“تيمقاد: المدينة الرومانية الاثرية. ولاية باتنة، الجزائر”
©2018 Live The Moment Algeria

ティムガッドは西暦100年ごろにトラヤヌス(※1)によりアルジェリアの北東部に建設されました。

最初は軍の砦だったティムガッドですが、その後数百年の間発展して大きな都市になり、各種施設が充実したローマの植民都市として最も成功したものの一つになりました。

ティムガッド 世界遺産としての価値

©Ma-TiによるPIXABAYからの画像

ティムガッドは西暦100年ごろにトラヤヌス(※1)によりアルジェリアの北東部に建設されました。もともとは都市ではなく、北の山脈に住むベルベル人(※2)の襲撃に備えた砦であり、その居住者は第一線から退いた退役軍人で構成されていたのです。

ティムガッドは建設から数百年たった5世紀まで発展し、円形劇場、図書館、公共浴場、宗教施設を備えキリスト教の聖地と呼ばれるほどの都市に成長しました。

建造物は大理石が特に貴重だったため、モザイクによる装飾が多用されました。

繁栄していたティムガッドですが、ヴァンダル人(※3)の侵略により西暦430年頃から衰退がはじまり、砦時代に警戒していた北の山脈の民族の襲撃によって没落してしまいます。

時は過ぎ、6世紀に東ローマ帝国がこの地域を統治すると、東ローマ帝国はティムガッドの近くに要塞を建設したうえで、ティムガッドの一部の施設を再稼働させて使用しました。

7世紀になるとアラブ勢力がティムガッドを攻撃するようになり、8世紀には最後の住民が消えたことでティムガッドは息の根を止められてしまいます。その後、19世紀になるまで砂の下に埋もれて忘れられた都市になったのです。

ティムガッドは今日まで残っているローマ帝国の遺跡としては非常に保存状態が良いものであり、ローマ帝国都市の当時の詳細をこの遺跡から学ぶことができます。

トラヤヌスの門

©gloctorによるPIXABAYからの画像

ティムガドに存在する建造物で最も有名なものが、トラヤヌスの門です。この門は少なくとも3世紀までには完成し、都市の西門として機能していました。

美しいコリント式の装飾が施された門は中央に大きなアーチがあり、側面に2つの小さなアーチを持った構造になっています。

中央のアーチは古代の戦車(チャリオット)などの車両がそのまま通過できるように巨大で、高さは約6mあります。側面の2つのアーチは歩行者用のものであり、約3.75mの高さがあります。

円形劇場

ディムガッドに存在する建物でもひときわ大きなものが円形劇場で、直径が60m以上あり、3,500名を収容できる規模を誇っています。

中心から外側に向かうにつれて客席数が増えていく階段状の構造をした観客席は、石壁により3層に仕切られています。

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ティムガッド 世界遺産の登録内容


©Ma-TiによるPIXABAYからの画像

世界遺産登録名 ティムガッド
(Timgad)

世界遺産登録年 1982年

世界遺産登録基準 内容

人類価値の相互交流
ティムガッドに存在するローマ時代の軍事施設や公共設備などの優れた建築物やその都市設計は、ローマの当時の勢力を示すものであり、この地域の人々にローマの技術・知識・伝統を吹き込んでいます。

過去の文明の証拠
ティムガッドは綿密に計画された区画整理が行われており、ローマが各地に建造していった典型的な都市のモデルといえます。この都市はもともと軍の野営地であり、そこを拡張するように都市が繁栄していった野営地の都市なのです。これは基礎となったローマ軍の軍事工学が優れていたことを示す貴重な資料です。

人類の歴史上重要な
建築・科学技術の
優れた見本
3世紀に渡って発展し、公共設備や宗教施設、防衛施設などといった様々な建物を残しているティムガッドは、ローマの殖民都市の詳細を今日に伝える存在といえます。
※補足1
補足1(トラヤヌス帝)

西暦100年ごろにローマ皇帝を務めた人物。ローマ皇帝の中でも武勇伝や慈善活動の功績を讃えて人気が高い。

先任のネルウァ帝から血縁関係が無いながらも軍部からの人望や功績から指名されたという。軍務に長く就いていたことから戦争に強く、ダキア戦争での勝利やパルティア遠征によるローマ帝国領土最大化など、戦争に強いローマ帝国を作り上げた。ただしパルティア遠征による領土拡大により各地で反乱活動が活性化した上、トラヤヌス自身も本国に帰還する途中で死亡している。

優れた逸材だったものの、ネルウァ帝と同じく実子を残さなかった。(57年生まれ-117年没)

補足2(ベルベル人)

北アフリカに古くから住んでいる民族で、肌は他のアフリカ民族よりも白い。

ベルベル人は広い範囲に住んでおり、アトラス山脈で暮らすベルベル人とサハラ砂漠で暮らすベルベル人は生活スタイルが異なる。現在では少数民族として各国に住んでいるが、モロッコは例外で、多くのベルベル人が住んでいる。

補足3(ヴァンダル人)

もともとは現在のドイツ周辺に暮らしていたゲルマン人だったが、騎馬民族のフン族が地域に現れたために移動を余儀なくされた。

彼らは途中でゴート族などに分かれたが、さらに移動して最終的に北アフリカに腰を下ろしたのがヴァンダル人。過去にフェニキア人が建設したカルタゴを占領して首都にした。

430年ごろから強力なガイセリック王が活躍するようになると、海軍力を増大させてローマ帝国を苦しめる敵対勢力となり、地中海の制海権を持つほどになった。

破壊行為などを意味するVandalismという単語は、過去に各地で破壊の限りを尽くした彼らの名前を取って生まれた単語といわれている。

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アルジェリア 飛行時間と料金 (目安)

日本からアルジェリアに向かう直行便がないため、最低でも一度は乗り継ぎする必要があります。飛行時間は16~24時間程度が目安です。

往復の料金帯は約85,000円程度から利用可能なものが多い印象でした。

ツアーの場合は内容や旅行会社によって違いますが、安いものでも350,000円ほどのお値段(大人1名料金)となっています。

ティムガッド 所在地

ティムガッド遺跡は首都アルジェから直線距離で300kmほど離れたバトナ県に位置しています。現在この県は後述する危険地域レベルが2になっていることにご注意ください。

ティムガッド遺跡から最も近い空港にはバトナ・モステファ・ベンヌ空港があります。

アルジェリアの気候

アルジェリアの気候は国土の北部地域は地中海性気候であり、乾季(5月~9月)と雨季(10月~4月)の2つの季節に分かれています。

ただし最も寒くなる時期であってもあまり冷え込むことはなく、日中であれば軽装でも過ごせる程度です。

夏場は強い日差しになるため日焼け対策が必須といえます。

北部以外は最高気温と最低気温の差が激しい砂漠地帯の気候になります。

アルジェリアの言語・宗教

アルジェリアの公用語としては、アラビア語が話されています。少数言語としては、ベルベル語や植民地時代のフランス語があります。フランス語は都市部で話されている模様です。

アルジェリアの宗教は大多数がイスラム教です。

アルジェリアの通貨

アルジェリアの通貨はアルジェリア・ディナール(Algerian dinar)です。

現在の1アルジェリア・ディナールは0.9円前後で推移しています。

紙幣は200、500、1,000、2,000の4種類が流通しており、貨幣は5、10、20、50、100の5種類が流通しています。

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アルジェリアの電力事情

アルジェリアで普及している一般家庭用の電圧は230Vで、周波数は50Hzとなっています。

日本のものを使う場合は変圧器を持参するか、世界の電圧に対応している(100V-240Vと表記)ものを持って行きましょう。

アルジェリアではC型プラグとF型プラグが普及しています。これらの形式に対応できるマルチプラグを持っていると安心です。

渡航安全情報 (2020/03)

©Defence-ImageryによるPIXABAYからの画像

現在コロナウイルスの影響によって、世界各国政府が海外旅行を中止するように呼びかけています。事態が収拾するまで不要の旅行は避けましょう。

危険な地域が多い

アルジェリアは国土の大半が危険な地域に指定されているため現在旅行をするのが難しい状況となっています。遺跡が位置するエリアもレベル2の地域であるため遺跡を訪れる場合は危険がつきまといます。

ISILや複数のテロ組織が国内で活動しており、これらの事件や治安部隊との衝突に巻き込まれる可能性があります。

どうしても旅行するのであれば、相応の覚悟が必要になるかもしれません。

■レベル1の地域

以前はより危険でしたが積極的な治安活動により危険度が下がったと判断され、国土の北部の大半や中部地域はこのレベルになっています。

■レベル2の地域

国土の北部に存在するいくつかの県は治安が悪く、テロの標的にされる恐れがあります。十分に情報収集を行いリスクを下げるなどの工夫を考えましょう。

■レベル3の地域

国土南部だけでなく、北部に存在するいくつかの県も非常に危険なレベル3となっています。誘拐や危害を加えられる可能性が大きくなるため、これらの地域に近づくことはやめましょう。

■レベル4の地域

アルジェリアの西側を除き、国境地帯は最高レベルの4が指定されています。もはや命の保障はありません。遊び半分で近づくことは自殺行為であると認識しましょう。

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衛生・病気について

©Clker-Free-Vector-ImagesによるPIXABAYからの画像

病院の対応レベル 低い

先進国に比べ医療水準や衛生概念が徹底されていないため、満足な医療措置が受けられない又は医療措置までに時間が掛かることが予想されます。

重病を発症した場合や高度な手術が必要なときは、先進国に移送されて処置される可能性もあります。健康に不安がある方は、持病が発症した場合にどのような扱いになるかをしっかりと予想し、対策を講じてください。

公立病院は多くの国民が利用するため、特に混雑し、時間がかかる上に英語が通じない病院も多いとされています。多少金額がかかっても、外国人向けに診療してくれる私立病院での受診がよいでしょう。

意図しない病気や怪我になってしまった時のために、外務省は海外旅行保険への加入を推奨しています。

衛生状態 低い

衛生状態は日本に比べて低いです。食品は加熱処理された食品を食べ、生水・水道水は避けて飲料水はミネラルウォーターを飲用することが大切です。

ボトル入りの水についても、製造年日の確認や容器の破損などがないか調べる必要があります。

食事は多少金額が張っても衛生状態の良さそうなお店や外国人がいるような店を選び、屋台は避けましょう。

交通事故の発生率も高いため、注意しましょう。都市部での渋滞も多く、救急車の到着が遅れる可能性が大きいことも覚えておきましょう。

旅行時に注意すべき病気

腸炎

衛生状態の悪い店や屋台で飲食するとかかる可能性の大きい病気です。

リーシュマニア症

都市部では問題ないものの、地方に出かける場合は要注意です。

サシチョウバエが媒介する感染症で、皮膚症状型と内臓症状型に分けられます。いずれも放置すると重症化します。

内臓型は肝臓と脾臓が肥大化し、致死的な症状に移行していきます。

皮膚型は潰瘍が発生し、放置すると重症化して一生残る傷跡になります。

いくつかの新薬が開発されましたが、効果が公式に認められたとは言えない状況で、有効なワクチンが未だに開発されてないことも、この病の危険性に拍車を掛けています。

サソリ刺傷

アルジェリアでは特に南部で多いとされています。暗い場所を好む習性で、靴の中に入り込む事例が報告されています。

黄色い体色をしたタイプが最も危険だといわれています。もし刺された場合は血清を投与してください。

予防接種

上述したように、医療レベルは日本に比べ低いため渡航後は十分なワクチン接種が現地で受けられない可能性が高いとされています。

外務省によると、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・季節性インフルエンザ・腸チフスの予防接種を行うことを推奨しています。



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ABOUTこの記事をかいた人

Wolfy Blacksmith

人々が作り上げたモノやテクノロジーが好き。そしてゲーム、音楽、映画が好き。 そんな管理人が、教養とエンターテイメントが交差する不思議な世界へご案内いたします。