兵馬俑 始皇帝の死後も仕える石造りの兵士たち 世界遺産を学ぶ

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2千年もの間封印され、農家が偶然発見した” 兵馬俑 ”。朽ちない兵士として今も始皇帝に尽くす彼らたち。「世界遺産を学ぶ」シリーズ・シーズン1の第6回は、中国の世界遺跡である兵馬俑を取り上げます。
(全6回)
タイトル画像:©RAStudentによるPIXABAYからの画像
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兵馬俑 概要

兵馬俑の偉大な歴史 ―
メーガン・カンピシ と ペン=ペン・チェン
©2015 TED-Ed

1974年に地元農民の開墾作業により発見されたのをきっかけに発掘が進み、中国の代表的な世界遺産となっています。

現在までに8,000体の兵士や馬の陶器製の像が出土しており、その全てに施された造形の細かさは素晴らしいです。

古代中国を最初に統一した始皇帝にまつわる世界遺産として、魅力を放っています。

世界遺産としての見所

©PublicDomainPicturesによるPIXABAYからの画像

兵馬俑に存在している俑(陶器製の像)は、兵士ひとりひとりの顔を型取りして製作しているためどれも個性があり、それらが数千体存在しています。俑の装飾品も細かに造られており、色鮮やかに彩色された彼らの威容は始皇帝の軍隊として誇れるものだったことでしょう。

建造から2,000年あまりが経過していますが、剣や槍の刃などは良好な状態で残っており、20世紀に発明されたクロムメッキを古代中国文明が先に発明していたという超文明説もささやかれていました。

現在では保存に適した土質だったことや、装飾品に使われた漆などの要素が複雑に絡んで今日まで残ったという説の裏づけがなされています。ですが、それを踏まえた上でも当時の鍛冶職人の冶金技術は非常に高いものだと評価されています。

兵馬俑に供えられた武器は実物であったため、兵馬俑の建造が終了してから近い時代に起こった戦乱の際に略奪されるなどしたことが分かっています。[the_ad id=”4425″]

4つに分けられた兵馬俑

©PublicDomainPicturesによるPIXABAYからの画像

©Peggy_MarcoによるPIXABAYからの画像

兵馬俑は地面に数メートルの深さの坑を堀り、そこに俑を配置しています。

配置されている俑は、様々な階級と兵科に分けられた軍隊を模しており、始皇帝の時代の軍隊をほぼそのまま生き写したようになっています。

兵馬俑の坑は4つ確認されており、坑と坑の間は数十メートルの距離を置いてつくられています。

●1番坑

兵馬俑の坑の中でも最も大きく、230m×60mの空間を持ち、6,000体の俑が配置されています。多くは剣や槍で戦う歩兵で、射手や戦車の姿もあります。

●2番坑

兵馬俑の坑の中でも2番目に大きく、L字を横に倒した形の空間をしています。射手と戦車と騎兵の俑が配置されており、射手が最も多い比率を占めます。

●3番坑

兵馬俑の坑の中でも最も小さく、軍隊の司令部の役割を持っています。司令官とその護衛兵で構成されているほか、馬の俑の姿もあります。

●4番坑

内部に俑が無い空っぽの坑で、最も謎の多い坑です。理由は諸説ありますが、始皇帝が死んだあと未完成の状態で放棄されたために、このような坑になった説が有力です。

兵士以外の存在


兵馬俑は沢山の兵士たちが居るというイメージですが、それ以外にも役人や始皇帝に娯楽を提供した役職と思われる俑も発見されています。

始皇帝にとっていつまでも仕えてくれる軍隊は頼もしいものだと思いますが、「軍人ばかりで殺伐とし過ぎるのもよろしくない。」と命令したのかも知れません。
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始皇帝と水銀

 

©christelsによるPIXABAYからの画像


始皇帝は不老不死に大いに興味があり、それを実現するためにあらゆるものを試しました。その一つが仙丹と呼ばれるもので、水銀の化合物であったとされています。仙丹は辰砂(しんしゃ)と呼ばれる硫化水銀から作られました。

辰砂は赤色の結晶を持った鉱石で別名が賢者の石です。この色が血を連想することから生命の象徴として見られ、また加熱することで水銀となり、これに硫黄を反応させることで辰砂に戻ることから復活の象徴としても見られ、不老不死の効果があるのではと考えられたのです。

司馬遷の史記に始皇帝陵墓についての記述があり、そこには金や水銀を使用した人工の川が存在したと書かれていた話があります。さらに、最近の調査で始皇帝陵墓の土から多くの水銀の反応を確認したと報告されています。

いずれにせよ、水銀を使用した何かが地下に存在しているのは確かであり、始皇帝が水銀にかけた期待の大きさが分かります。

水銀はもちろん毒物です。日本では近代になってから公害という形で人々を苦しめた、悪しき毒物といえます。

一説では始皇帝は水銀の服用で寿命を縮めたという話もありますから、何とも皮肉な結果といえます。ちなみにそれからの数百年、水銀で不老不死を実現しようとして水銀中毒で死んだ君主が後を絶ちませんでした。

兵馬俑 世界遺産の登録内容


世界遺産登録名 始皇帝陵と兵馬俑坑
(Mausoleum of the First Qin Emperor)

世界遺産登録年 1987年

世界遺産登録基準 内容

人類の創造的才能
陶器製の兵士と馬の像や、銅製の葬儀用馬車などの創作物に見られる優れた造形は、古代秦王朝だけでなく中国文明の重要な創造物といえるものです。


過去の文明の証拠
兵士たちが持つ様々な武器、鎧、装飾品、その他の小物にいたるまで、これらは極めて詳細かつ良好な保存状態で残されています。当時の兵士たちがどのような装備をしていたかはもちろんのこと、これらを造り上げた陶芸士たちの技術の高さも推し量ることが出来る優れた価値があります。


人類の歴史上重要な
建築・科学技術の
優れた見本
調査で判明してきた陵墓は、始皇帝が首都とした咸陽と同じレイアウトで構成され、始皇帝が生み出した成果を象徴した模型ともいえる存在です。石造りの不滅の兵馬俑は、皇帝が望んだ不死の世界でも外敵から皇帝を守る役目を与えられ、ここに始皇帝の永遠の都が完成するのです。

顕著で
あらゆる価値に繋がる
出来事・伝統
思想・信仰
芸術・文学
に直接または
実質的に関連する
(この価値は、他の基準との複合的関連があることが望ましい)
数多の勢力がひしめき合っていた中国を初めて統一した始皇帝に大きく関わる世界遺産として、この基準で登録されています。
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中国 飛行時間と料金 (目安)

©stuxによるPIXABAYからの画像

日本から西安咸陽国際空港までは、中国に本社を置いている航空会社の直行便を利用することができ、おおよそ8時間程度の飛行時間で到着します。

直行便以外であれば、おおよそ20から30時間程度の飛行時間で西安咸陽国際空港に到着します。

兵馬俑 所在地

兵馬俑は中国の内陸中央部陝西省(せんせいしょう)、西安市の区のひとつである臨潼区(りんどう)にあります。昔は長安と呼ばれていた時期もありました。

代表的な世界遺産であるため、バスや地下鉄など観光客向けの移動手段は充実しており、西安咸陽国際空港より1から2時間程度で到着します。

中国の気候

兵馬俑のある西安の気候は四季のある気候で、日本とほぼ同様です。冬場はやや寒くなりますので、寒い時期に訪れるのであれば防寒対策を行いましょう。

中国の言語

中国では普通話と呼ばれるものが公用語として普及しています。

外国人が多く集まる空港やホテルなどのスタッフは、英語での対応力が高いですが、それ以外の場所では通じる可能性は大きく下がります。

現地で話をしなければならなくなった場合のために、英語や日本語の対応力の高い場所を事前にピックアップしておいた方が無難です。

中国の通貨

©moerschyによるPIXABAYからの画像

現金払い時の偽札にご注意を

中国は偽札大国といわれるほど偽札が出回っており、キャッシュレス決済の先進国といわれるほどに現金取引の信用が無くなっています。また何度も新紙幣を発行していることも事実です。

現金の支払いをしようとすると、「これは偽札だから私の持っている本物の紙幣と交換して。」などと言いながら偽札を掴まされる事例もあるそうです。

買い物の際はキャッシュレス決済をメインに使い、現金の取引は最小限にとどめておくことが望ましいでしょう。

通貨情報

中国の通貨は人民元(RMB)です。

現在の1人民元は15円前後となっています。

紙幣は1元、5元、10元、20元、50元、100元の6種類が流通しており、硬貨は1分(1元の1/100)、1角(1元の1/10)、5角(1元の1/2)、1元の4種類が多く流通しています。

中国の電力事情

中国で普及している一般家庭用の電圧は220Vで、周波数は50Hzとなっています。100-240V対応と書かれた海外旅行対応品を持っていくと良いでしょう。

コンセントタイプはA,C,I型が普及しています。A型は日本でもおなじみの縦型2穴の形式で、都市部のホテルなどはこの形式が多く採用されています。

よって、CやIタイプに対応できるマルチプラグを持っていると安心です。

渡航安全情報 (2020/04)

©Free-PhotosClker-Free-Vector-ImagesによるPIXABAYからの画像

新型コロナウイルスによる影響が続いています

現在世界各国の政府が海外旅行を中止するように呼びかけています。事態が収拾するまでは旅行を控えましょう。[the_ad id=”5357″][the_ad id=”4427″]

衛生・病気について

©Clker-Free-Vector-ImagesによるPIXABAYからの画像

病院の対応レベル 低い

患者数に対する医師の数が日本と比べて少なく、満足な医療措置が受けられない又は医療措置までに時間が掛かることが予想されます。

現地で怪我や病気になってしまった場合は、外国人向けの医療設備が充実した病院等を利用することをおすすめします。

衛生状態 低い

衛生環境が日本よりも低いため、食材は加熱調理したものを食べ、水はミネラルウォーターか浄水器が取り付けられた水道から摂取することが無難です。

野菜や果物は、見た目だけで判断せずに十分に洗浄することを心がけましょう。

外食する場合は外国人向けのレストランを利用し、屋台などでの飲食は控えましょう。

旅行時に注意すべき病気など

ウイルス性肝炎

A・B・C・E型肝炎など

A型とE型は不衛生な環境での経口感染により発症します。B型とC型は、使い回しの注射針や血液パックなどの不衛生な医療環境や性行為により感染します。

結核

咳が止まらないなどの症状が長く続く場合はこの病を疑いましょう。

呼吸器系の病

人口が密集する都市部では大気汚染により光化学スモッグが発生します。

滞在中に咳が止まらなくなったり、喘息を持病で持っている人は悪化したりする可能性があります。マスクを常備するなどして対策しましょう。

また上述した結核の発症を見分け難くなるため、長期滞在の場合は肺の検査を受けましょう。

食中毒

地元の人は平気でも、旅行者の場合は発症する可能性が大きいです。露天商や屋台の利用は極力避けましょう。

安価な食品もなるべく食べないほうが被害を抑えられます。

狂犬病

狂犬病ウイルスを持つ動物に噛まれることで感染する、危険性の高い感染症です。主に野犬に噛まれることで感染します。

猫もこの病を持っている可能性があるため、動物から噛まれた場合は注意しましょう。

過度の飲酒

アルコールのきついお酒であっても一気に飲んでしまう人が多いとされています。それにより急性アルコール中毒や、窒息によって死に至る事例もあります。

もし中国の人と陽気な感じになっても、ある程度で引き上げましょう。

交通事故

交通マナーが日本よりも悪いため、注意が必要です。信号無視をした車のせいで歩行者が危険な目に遭う可能性は高いとされています。

歩道も油断はできず、スクーターや電動補助の付いた自転車が飛ばしていくこともあるため、常に気を張る必要があります。

予防接種

発症した場合は非常に辛いため、予防接種して渡航することが望ましいです。

外務省によると、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・腸チフスの予防接種を行うことを推奨しています。

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