オーロラ社がVTOL輸送機の新たなレンダリングモデルを発表

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ボーイングの子会社で先進機体の開発製造を行っている Aurora Flight Sciences (オーロラ・フライト・サイエンス)社が、垂直離着陸能力を備えた戦術輸送機の新たなレンダリングモデルを2023年11月に公表しました。

開発中の輸送機は、DARPAと米軍特殊作戦軍による「高速性と滑走路不要の航空機」を試作する SPRINT計画により開発されています。

SPRINT計画では、VTOLによる極小面積の着陸やホバリングによる困難な地形の克服と、400ノットから450ノットの巡航速度の達成が目指されます。(配備中のオスプレイの最大速度は300ノット)

オーロラ社のデザインは、V字尾翼を持った機体容積の大きなブレンテッドウイングボディになっています。主な特徴は以下の通りです。

●固定翼にファンを内蔵したファン・イン・ウイング形式

●メインエンジンは可動式エンジンポッドではない組み込み式

●適度なスイープを備えたブレンテッドウイングボディ

●機械式ドライブによってエンジンに接続されたリフトファン

●450ノット以上の高速性

また親会社のボーイングが開発した X-48 ハイブリッド・ウイングボディ実験機や、オーロラ社が以前開発した エクスカリバー無人VTOL実験機によるデータを礎に、開発を進めるとのことです。

このような機能を持った航空機の研究は1980年代から盛んに計画されていたものであり、それだけVTOL能力を持った展開性の高い航空機の実用化が叫ばれていたことを意味します。

実際オーロラ社のデザインに非常によく似たレイアウトの航空機が、1990年代初頭にノースアメリカン社(現ボーイングに統合)によって検討されていました。

DARPAによると、SPRINT計画は2023年11月にフェーズ1の過程に入ったと宣言されています。

フェーズ1ではいくつかの航空機製造メーカーが選定され、開発を行うことになっています。以下がその一覧です。

●オーロラ・フライト・サイエンス

●ベル・テキストロン

●ノースロップ・グラマン

●パイアセッキ・エアクラフト

SPRINT計画を達成するような高性能機体の開発は非常に困難で、資金力・開発ノウハウの両方を高いレベルで備えた組織でないとできません。

そのため、現在フェーズ1という初期段階であることを鑑みると、大手の航空機メーカーが莫大な予算と時間をかけて計画を進めていくと予想されます。

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