3大発明 活版印刷 ルネサンス時代のテクノロジー

3大発明 活版印刷 01

タイトル画像提供: PIXABAY
型に文字を刻み、それにインクつけて、紙に押し当てることで文字を写しだす 3大発明 活版印刷 (英名:letterpress printing)。

書物を爆発的に普及させ、ついには宗教改革の一端を担うことになった技術でもあります。

今回はヨーロッパにて普及した、ルネサンス三大発明の一つである活版印刷をご紹介します。

目次

活版印刷の起源

最初に活版印刷を使った文明は中国と言われています。

漢王朝の時代にはじまる石板印刷から木版印刷に進化し、11世紀の宋時代には活版印刷が登場します。

ですが、中国での優れた発明は、他国で急速に広まる事は有りませんでした。ヨーロッパでの活版印刷の登場は、

15世紀まで待たなければならず、中国の発明とを結びつける証拠も見つかっていません。

ヨーロッパの活版印刷はいきなり発明されたわけではなく、発明を加速させた要素がありました。

それは、ヨーロッパでも製紙技術が発展し、紙に文字を書くということが普及しつつあったということです。

紙が作れるようになった

13世紀にはイタリアの都市ファブリアーノで紙が作られた記録があります。

ファブリアーノはもともと羊毛産業が盛んな地域であり、水力を利用して羊毛繊維を圧縮して、フェルトを作るためのプレス装置が多くありました。

プレス装置が紙を作る工程で利用できることがわかると、ファブリアーノの製紙産業が大きく発展し、製紙工場がたくさんつくられるようになりました。

ヨーロッパには、アラブで作られた紙が輸入されていましたが、アラブ以外の地域では保存がきかず、ヨーロッパの人々が関心を向けることはありませんでした。

しかし、ファブリアーノの紙職人たちのチャレンジによって、紙の質が向上し、ヨーロッパ向けの紙がつくれるようになりました。

ヨーロッパでも十分に長持ちする紙が作れるようになると、今度はヨーロッパ各地で製紙産業が広がるようになり、紙がより身近な存在になっていきました。

ドイツで生まれた活版印刷

3大発明 活版印刷 02画像提供: PIXABAY

活版印刷は、製紙国家であるイタリアではなく、ドイツで生まれました。

発明者

ヨーロッパ(ドイツ)で最初に活版印刷を発明した人物は、ヨハネス・グーテンベルグと言われています。

彼は紙に関係した職人ではなく、金属細工の職人でした。活版印刷は、金属の型を造る技術が必要不可欠なので、金物屋が発明者であることは自然な理由といえます。

最初の印刷物は聖書

ヨハネス・グーテンベルグが最初に印刷したとされる書物は、1455年に出版された四十二行聖書(別名:グーテンベルク聖書)と言われています。

この時代のヨーロッパは教会勢力が大きな力を持っており、人々にとって聖書が関心を集め、貴重なアイテムであることは間違いないことでした。

四十二行聖書は三百部程度出版され、現在でも数十冊がのこっています。

活版印刷が登場した当初では、印刷物はとても高価で数が少ないものでした。

また、発明者のヨハネスにとっても、資金を回収するほどの売り上げはなく、出資者から負債を請求されるという話があります。

社会に与えた影響

印刷はじめから歓迎されたわけではありませんでした。大事な文章は羊皮紙を使って丁寧に書いたり、本の複製は写本によって行われているのが当たり前だった時代に、

何かよく分からない方法で本を生み出す技術は、「おそろしい魔術で作った。」と言われたようです。

本の普及

時がたつにつれ、まずは宗教と密接な関係がある修道院で、聖書を印刷するために活版印刷機が普及していきました。

発明されてからしばらくの間、出版物は宗教のための本が多かったようです。

次に、裕福な人の教養本として、法律や政治の本が作られていきました。そして、工業技術や事務の本など、仕事に関する本が増えていきました。

本の需要に比例するように、各地に印刷所が作られるようになると、本を読んで知識を身につけるという行為が身分に関われず行われるようになり、

教育水準や識字率が大きく上昇する要因になりました。

芸術の変化

それまでの芸術作品といえば、宗教に関係した作品や、王族、貴族などの位が高い人に関係する作品が多く、限られた身分の人しか鑑賞することができませんでした。

しかし、印刷によって自分の作品がたくさんの人々に見られるようになりました。

これは芸術家たちにとっても新しい表現手段を生み出すきっかけとなり、新しい絵画や建築の様式が広まっていきました。

ルターと活版印刷

3大発明 活版印刷 マルティン・ルター画像提供: PIXABAY

16世紀初頭、ローマ・カトリック教会免罪符を発行していました。これを買うと、現世で犯した罪があの世で問われることが無いというものでした。

これに対しあるドイツの修道士が、お金で罪が許されるわけないだろう!と、ローマ・カトリック教会に至極まっとうな異議を唱えました。

私たちが世界史の授業でよく聞くマルティン・ルターです。

印刷による大量配布

彼は、自分の教義として95カ条の論題を書き、ローマ教会と真っ向から対決することになります。

特に免罪符の効果と販売について絶対に許さない!と言わんばかりの内容を書いていたので、ローマ・カトリック教会も「たかが一人の修道士に何が出来る!」と猛攻撃を開始し、ルターは非常に危険な立場に追い込まれます。

ですが、教会は思わぬ事態に直面します。ルターが情報媒体として選んだのが、大量で迅速に刷れる活版印刷だったのです。

16世紀には印刷機が広く普及していました。

これにより「95カ条の論題」の内容は、急速に人々の目に見える形で拡大し、ルターの考えに共感しつつ教会側に不満を募らせるドイツの人々が激増することになりました。

95カ条の論題から始まった宗教改革は、ドイツ諸侯と、神聖ローマ皇帝カール5世の戦争に発展し、ドイツはカトリック勢力とプロテスタント勢力が入り混じった複雑な状況になっていくのです。

3大発明 活版印刷 おわりに

活版印刷の発明によって、ヨーロッパの人々が触れる知識と情報量は増大し、情報伝達が格段に早くなりました。

現代においても製法の違いは有れど、印刷された書物を読んで、知識や情報を得る行為は変わっていません。

それだけ必要とされる技術であり、今まで人々に与えた影響は計り知れないものがあります。

現在にはより新しく効率的な情報媒体が存在しますが、電気がなければ使えないものばかりです。

なので、今後も印刷物は必要なものとして残り続けるでしょう。

この記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。それでは、よい旅を。

テクワンは皆様の応援により支えられています。

サイトをサポート

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ドローンや車両などのテクノロジーに関連する記事を上げています。

コメント

コメントする

目次